大判例

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東京高等裁判所 昭和40年(ネ)1865号 判決

一、被控訴人は小栗為吉は控訴人会社の社長と称し主宰者であるので、正当の事由により共同代表者の存在を知らなかつたと抗弁するけれども、商法第一二条の規定により共同代表の規定に関する商業登記の対抗力は、このような登記(公告は法務局及び地方法務局設置に伴う関係法律整理法付則の規定により省略されているので、関係がない。)の存在をその責に帰すべきでない理由により知り得なかつたというように、知らないことにつき正当の事由のある場合に限つて除外されるのであつて、小栗為吉が控訴人会社の社長と称し事実上の主宰者であるように行動していたので、単独の代表権を有していると信じたというような取引関係上の外部的状況は右法条の後段にいう正当の事由に当らないものと解すべきであるから、右主張は理由がない。

二、次に被控訴代理人は小栗為吉は共同代表の定めによつて代表権が制限されていたものであるので、商法第二六二条、同法第二六一条第三項によつて準用される同法第七八条第二項、民法第五四条の規定により控訴人会社は代表取締役小栗為吉の本件手形振出につき責任を免れないと主張する。しかしながら商法第二六二条の規定は代表権を有しないのに拘らず会社を代表する権限を有するものと認めるべき名称を有する取締役のなした行為に関する規定であつて、本件のように代表取締役について共同代表の定めのある場合の規定ではないし、また代表取締役に対する共同代表による内部制限については同法第二六一条第三項によつて善意の第三者保護の措置がとられているから、これと重複して同法第二六二条の適用を論ずる必要はない。

三、そして同法第二六一条第三項(その準用する第七八条第二項)による民法第五四条の準用については、代表取締役の代表権が共同代表の定めによつて内部的に制限された場合に、この制限をもつて善意の第三者に対抗することはできないという一般原則を商業登記の効力を考慮しないで規定したものであつて、本件のように代表取締役の共同代表に関する定が登記された場合には、その効力は商法第一二条の規定に従うべきであり、民法第五四条の規定するところとは登記の具備により異つた法律関係になるというべきである。したがつて本件については民法第五四条の準用を見るべき場合ではないので、この点に関する被控訴人の見解は排斥を免かれない。

(中西 西川 秦)

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